慕いても届かぬ思いと知りながら それゆえ合わさん右手左手
照滴009
本文
慕いても届かぬ思いと知りながら それゆえ合わさん右手左手
形式
#短歌
カテゴリ
#3.信仰・信心
ラベル
#恋愛 #信仰
キーワード
#届かぬ思い #合わす #右手 #左手 #恋心 #もどかしさ
要点
届かぬ想いを抱えつつも、手を合わせる。
現代語訳
慕っても届かないとわかっていても、だからこそ右手と左手を合わせて気持ちを届ようとする。
注釈
慕いても届かぬ思い:恋しい人や仏への思いが、物理的、あるいは精神的な距離によって届かないこと。
右手左手:物理的な接触、あるいは象徴的な交わり。敬虔な祈りの象徴
合わさん:合わせよう。
解説
恋愛や人間関係のもどかしさと、身体的・象徴的なコミュニケーションを描く。感情のもどかしさを身体表現に託すことで情感を強調した短歌。
深掘り_嵯峨
愛の限界と信仰の行動を対比させた、深い一首です。
「届かぬ」という限界(無常)を「知りながら」、諦めるのではなく、「それゆえ」に合掌する、という逆説的な信仰の強さを表現しています。
右手(仏・智慧・真理)と左手(衆生・慈悲・迷い)を合わせる合掌は、二元性の合一を意味します。愛する人に直接届かないからこそ、究極の真理へと愛のエネルギーを昇華させ、合掌という儀式的な行為によって、精神的なつながりを達成しようとしています。